maturimokei’s blog

俺たち妄想族

日本の安全保障の見直しを急げ

 これは敵基地攻撃能力の保有核武装について述べるものではない。むしろ逆である。

ロシアの蛮行は今までの日本の安全保障のあり方の間違いを露呈した。理性のある人間は戦争を起こしたりしない。理性がないから起こすのであり、理性のない人間は残念ながら存在する。ではどうするのかという具体策の立案を今迫られている。

 国内においては警察に防御のための銃の使用を認めている。理性のない国に攻められたとき、防御のための自衛隊出動もありうると思う。しかし日本は武力による国際紛争の解決を憲法九条により否定している。解決に武力を使わずどうやるのか。国際社会は現在経済制裁でロシアに臨んでいる。いわゆる兵糧攻めである。経済制裁により相手国の内部から政権を崩すのである。今の日本にそれは可能か。

 日本が国を守るために取り組まなければならない喫緊の課題を示す。

 

1 現在11%のエネルギー自給率の向上

 広い国土を持つロシア、カナダ、アメリカ、中国、ブラジル、オーストラリアは地下資源に恵まれる可能性は高く、実際そうである。ロシアが戦争を始めたのも、天然ガス重油が豊富だからである。それに比べ日本は国土が狭く、89%のエネルギーを輸入に頼っている現在、エネルギー兵糧攻めをされてもできる立場にない。せめてされない状態にしなければならない。そのために日本の自然を生かした地熱発電、潮力発電、水力発電の研究に国は力を入れるべきだ。特に地熱はすぐにでも利用できるが、国立公園に関する法律が弊害になっていると聞く。建屋のデザインを風景にあったものにする、小規模発電所を多数作るなどして美観を守りながらできるはずだ。ダムは自然破壊につながり、立退の問題もあるが、小規模水力発電の研究を進めれば、そうした問題も解決できるのではないか。

 エネルギー逼迫と言っても、安易に原発に頼るべきでない。関西電力は、東電の福島原発事故以来手の平を返してやめていた原発コマーシャルを、最近はカーボンニュートラルの掛け声に励まされ、喉元を過ぎたとばかりに子供まで使って再開した。電気自動車は都会の空気を美しくするが、発電のための汚れた空気や物質を地方や未来に追いやることで実現するものだ。事実通産省廃炉後の放射性廃棄物の処理を海外処理しようとしている。自分たちの貧困なイマジネーションが届かないという理由で、実際に貧困な人々に負担を負わせて幸せと言えるのか。東電の柏崎刈羽原発はテロ対策の杜撰さを指摘され稼働できない状態だ。放射性廃棄物を海外搬送中に海賊に奪われないとも限らない。ロシアの蛮行は、ミサイルで原発を攻撃し手に入れられることを証明した。現代の生活享受のために汚染された核廃棄物を子孫に残すという問題があるだけでなく、原発により、現代の生活自体がすでに犯され脅かされているのだ。原発に頼らない、日本の風土にあった発電を研究するために国防費を回すべきだ。

 

2 現在37%の食料自給率の向上

 外務省の2019年のデータによると、世界の小麦生産は中国25%、インド20%、ロシア13%、ウクライナ5%、ちなみに日本は0.1%だ。ロシアは経済制裁を受けてもエネルギーと食料があるから自給自足していける。未来のないロシアから次第に頭脳流出が始まりさらに国力は衰えるだろうが、兵糧攻めではロシアは滅亡しない。むしろますます儲けるのが中国だろう。中国は供給の減った世界に高値で小麦や石炭を売り、ロシアには製品を売り続ける。漁夫の利である。インドも追随する可能性が高い。

 日本のカロリーベースの自給率37%には贅沢品が含まれているだろうから、生きるための自給率ならもっと高いはずだし、高くできる。しかし、外国に攻められて港湾を封鎖されてすぐに休耕田から米が取れるとは思えない。むしろ常に余剰米を持ち、世界の飢餓地域に浄水器とともに放出し援助できる国になりたい。そうした世界に必要な国は結果として攻められにくい国になるのではないか。

 

3 ワクチン、新薬開発

 アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシア、中国は自前のコロナワクチンを開発した。ワクチンは国防のためのものだからだ。細菌兵器は国際条約で禁止されているが、条約を守る国が戦争を起こしたりしない。ワクチンを持たないと戦争ができないのだ。だから、ロシア、中国はアメリカのワクチンを買ったりするはずがない。自国で作る必要があるのだ。ノーベル化学、医学賞受賞者を輩出する日本がなぜ開発に遅れるのか。一つは基礎研究に国が補助をしないからだ。もともとそういう風土であったのかもしれないが、すぐ結果が出るものを求める姿勢は安倍政権の時に顕著になった。もちろん、日米安保アメリカが供給してくれるという安心があり、莫大な基礎研究費を節約できるという考えもある。しかし、私は疑っている。ワクチンが国防に関する限り、日本は開発を禁じられているのではないか、そうした密約があるのではないか。サンフランシスコ条約で、禁じられていた航空機の開発を再びできるようになったが、ワクチンはアメリカより早く開発しないという密約があるのではないか。ワクチンを持てば戦争を始められるからだ。私の杞憂妄想だと思いたい。

 ワクチンに限らず、医薬品の開発は国防上有効だ。日本しか作れない薬を作ることが、資源の少ない日本が兵糧攻めできる少ない方法の一つだ。井上ひさしも50年前に書いた『吉里吉里人』で医学立国を国防として提案していた。日本語が医学の基準となる世界を彼は夢見ていた。

 

4 戦闘機購入ではなくドローン、巡航ミサイル開発

 戦闘機は人が乗る。ゆえに撃墜されれば人は死ぬ可能性が高い。しかしドローンは違う。戦闘機は高価だ。安倍首相は2018年に、1機96億円のロッキード35Aを147機買うことを閣議決定した。しかし、ドローンだと1機1億円でもその100倍、1000万円なら1000倍買える。戦闘機は飛行場を破壊されれば飛べない。着陸できない。事実ロシアはウクライナの飛行場を破壊した。しかし、ドローンならどこからでも飛ばせる。戦闘機の優位性は航続距離の長さである。しかし、専守防衛の観点から言えば遠くまで行くのは矛盾である。領海をカバーできる程度の艦船攻撃用の巡航ミサイルで十分ではないか。

 ウクライナ侵攻で分かったことは、ミサイルで街を破壊するだけでは征服したことにならないということだ。兵士が入って市長を拘束するなり、市庁舎を占拠することをロシアは目指している。ならばドローンは航続距離が短くても戦車や車両の侵入を阻止するのに有効ではなかろうか。大都市には地下鉄がある。停電時でも動けるバッテリーを備えた車両を走らせドローンをあちこち配備すれば良いのではなかろうか。有人機は侵略の象徴、専守防衛なら無人機で良い。 

 現在ドローン技術で圧倒的優位に立っているのは中国だ。日本のシェアは世界の数%に過ぎない。しかし、日本の技術力ならきっと素晴らしい国産ドローンができる。次期F X開発費をドローン開発にまわそう。そして平時は被災地の物資運搬に役立てよう。日本は毎年災害に見舞われているのだから。

 

5 ドクターヘリの増産

 ミサイルを撃ち込まれたからといって全員が死ぬわけではない。負傷者の方が多い。負傷者をいかに早く救うかが重要だ。戦闘機は役に立たない。どこにでも着陸できるヘリコプターが必要だ。戦争でなくても、災害時や平時でも役立ち、無駄にならない。

 

6 情報収集能力の向上

 数で劣勢のウクライナの善戦は、米英の与えるロシア軍情報によるものが大きいとされる。旗艦モスクワを二発の巡航ミサイルで仕留めたとされるのもそのおかげである可能性が高い。相手の作戦がわかれば機先を制することができる。GPS補完機である「みちびき」は傾斜静止軌道をとり、日本上空に長くとどまることができ、2023年には7機体制となる。すでにカメラが仕込まれているのか私は知らないが、アメリカの衛星のような高性能カメラを持つものがあれば良い。

 しかし、いくら情報を得ていても、サイバー攻撃を受け、情報が伝わらなければ意味がない。サイバーセキュリティは必須である。

 

7 情報教育

 残虐なウクライナに迫害されたロシア人を守るために、ロシアはファシズムに対する正義の戦いをやむなくしている。ウクライナからはロシアに救いを求めて人々が脱出している。ウクライナは、自らの街をまるでロシアが破壊したかように自作自演で壊すだけでなく、ロシアに侵攻しロシアの子供や妊婦を爆撃している、とプーチンは言う。それを信じているロシア人、中国人は多数いる。国営放送が発表するプーチン支持率80%超は眉唾だが、実際に支持している人はたくさんいるのだろう。崩壊した国の経済を復興させ、失業率を改善し、再び国際社会での発言権を増すまでに国を立て直したことで人気を得たのはまさにヒトラーと同じ道を歩んでいる。プロパガンダ多用もまさに同じだ。偏った情報で戦争に駆り立てられたのは、70年前の日本も同じだった。「それは事実か」「なぜそう言うのか」「それを続けることは人類を幸せにするか」問い続ける姿勢が大切だ。問い続ける習慣を小さい頃から学校でつけることは、教育の目的でもある。それは他国や自国のプロパガンダに左右されず、正しい政府を支持し、誤った政府を転覆する、または誤った政府を作らない国民を育てることであり、それこそが最強の国防であり安全保障だからだ。